抜本的に見直そう!ソーシャルメディアアナリティクス完全ガイド

2022年7月22日 8 min read

こんにちは、Statusbrewです。

"ソーシャルメディアマーケティング"はデジタルマーケティング施策の中でもトップクラスに膨大な「データ」が生まれます。それは、ソーシャルメディアは言ってしまえば今すぐにでも「ツイートしちゃおう」「インスタのリール」「と計画と実行のペースが早くコンテンツの数が1投稿を毎月に何件も、と母数がそもそも多いことが理由です。

そしてソーシャルメディアという「手軽さ」から、闇雲にコンテンツを発信してしまう、ただしその方向性があっているのか、伝えたいメッセージは意図通りにオーディエンスに届いているのかなかなか計測しづらいのではないでしょうか?

1.ソーシャルメディアアナリティクスとは?
2.ソーシャルメディアマーケティングのROI評価方法
3. まずはここから始めよう!オーガニックソーシャルメディアアナリティクス

1.ソーシャルメディアアナリティクスとは?評価アングルは2種類ある

ソーシャルメディアはコンテンツの投稿自体は簡単に手軽にできるため、「いつでも方向性をチェンジしやすい」ことを理由に、常に改善を繰り返すためにこそ日々の分析が必要です。

言い換えれば、ソーシャルメディアの結果は毎日チェックしましょう。

コンテンツの細かさから、1日で結果が大きく変わったり、思いもよらぬ炎上を招くのもソーシャルメディアの特徴です。

ソーシャルメディアの監視作業が分析と同時進行で必要なことも大きな理由です。

ここに良いツイートがあります。

「ソーシャルメディア分析において何がパフォーマンスの効果測定になるのか」という問いに対して、

ベンチマークこそ全てだと答えているストラテジストがいます。

ベンチマークは、測定基準になります。例えばあなたの運用するInstagramの平均エンゲージメント率が1.85%だったとして、ベンチマークがなければ、この率が良いのか悪いのかわかりませんよね。

2つの種類のベンチマーク

  1. ヒストリカルベンチマーク(Historical benchmarking): 「自分自身(自社)の過去のパフォーマンスと比べるタイプのものです。(1ヶ月前のものとが一般的かつ効果的)
  2. 競合ベンチマーク(Competitor benchmarking): 自社ブランドのいわゆる競合他社と比べるものです。もしくは同じようなソーシャルメディアアカウントで、同じオーディエンス層に向けて発信しているもの)
注意!!全ての他社ソーシャルメディアが競合になり得るわけではありません。詳しくは下記で説明します!

2.真のソーシャルメディア評価に必要な評価計測方法とは?

ソーシャルメディアの各ネイティブプラットフォームのパフォーマンスから実際のROIを証明することは非常に難しいと言われています。

なぜなら、「フォロワーが多い = 実際に自社ブランドの売り上げ」につながっているか否かの因果関係が掴みにくいからです。

ソーシャルメディアにおけるROIを考える場合、正しいネイティブツールを使うことは正しい計算方法と同じくらい重要です。

早速以下を行っているか、チェックしてみましょう。

Facebookのトラッキングピクセル設定

Facebookのトラッキングピクセルを、サイトの主要ページやソーシャルチャンネルからリンクされているページに追加します。これにより、ユーザーがコンテンツを最初に読んでから数日または数週間後にコンバージョンした場合でも、コンバージョンとアクションを特定のコンテンツまたはキャンペーンに正確に帰属させることができます。ユーザーがコンバージョンに至らなかった場合、Facebookピクセルを使用して、以前に特定のページを訪問したがアクションを起こせなかったユーザーをターゲットにしたリマーケティングキャンペーンを行うことができます。

ソーシャルコンテンツ上のURLにUTMパラメーターを追加させる

ソーシャル広告やオーガニック投稿上のURLにGoogle AnalyticsのUTMパラメータを追加すると、ソーシャルメディアマーケティング活動によってどれだけのトラフィックとコンバージョンがもたらされたかを把握することができます。

Statusbrewのソーシャルメディアエンゲージメント分析

フォロワーの数よりも、エンゲージメント(反応率)に注力した分析をしましょう。

なぜインスタグラムのアナリティクスが必要なのか?=エンゲージメントの重要性=
Instagramアルゴリズムに影響するフォロワーの質をベースに、「エンゲージメント」がなぜ実際のフォロワー数よりも大切なのか、なぜ分析が必要なのか解説します。

実際にコンテンツがオーディエンスの目に止まった数、そして一人のユーザーあたりが反復してあなたのコンテンツに興味を持ってくれているか、に焦点を当てます。

この分析が実際具体的にどんな発見に役立つか?

分析から得た評価はどのような観点で行うべきか、例としてご紹介します!

・自社の複数運用しているソーシャルチャネルの中で、圧倒的にパフォーマンスが高いのはFacebookページである。フォロワー数やリーチに比べて、エンゲージメント率がダントツで高く、ファンが最も集まってきて情報をチェックしてくれている傾向にある。
・Twitterはカスタマーサポートやクレームの対象になりやすいようだ。> ネガティブなセンチメントの@リプライや@パブリックメンションが多い

・Instagramはフォロワーの数の倍近くのリーチがあり、「検索」によりユーザーがコンテンツにたどり着いている。 > 有益な情報が欲しいユーザーの集う場がInstagramである。フォロワー数にこだわらずとも十分にオーディエンスに届く施策ができている様子である。

・Instagramはコンテンツの寿命が長い。> 「ハッシュタグ」や「キーワード」で検索がドンピシャでオーディエンスに届いている可能性が高く、過去の古い投稿にもリーチがある。古い投稿も参照にしてくれている。使っているキーワードの選定がピタリと当てはまっているし、オーディエンスもブランドが使うボキャブラリを認知している。

逆にTwitterはinstagramと仕様上、過去の投稿にスクロールして遡りづらいため新鮮なコンテンツでインパクトを出したり、カスタマーサポート窓口として徹底する方がオーディエンスの認知も高まりやすい。

ソーシャルリスニング & キーワード分析

ソーシャルリスニングツールは、競合分析やオーディエンス分析に大いに役立ちます。ソーシャルリスニングとは、ソーシャルチャンネルに毎日投稿される膨大な量のデータを分析・解析し、ビジネスに関連する有益な洞察を自動的に抽出するプロセスのことです。

ソーシャルリスニングによって、マーケティング担当者やアナリストは、ブランド、製品、または業界についてオーディエンスがどのように感じているかを理解することができます。これらの洞察は、製品の意思決定(例:「多くの人がこの機能に不満を抱いている」)に役立ち、人口層の興味や価値観を明らかにし、業界に関連するトレンドをその都度明らかにすることができます。

トレンドにタイムリーに対応 - リアルタイムのデータにアクセスすることで、大きなトレンドに迅速に対応し、競合他社に先んじることができます。

ビジネスリスクを最小限に抑える - データは戦略的な道しるべとなり、正しい方向性を示してくれます。

データに基づいて戦略を立てることで、意思決定に感情が入り込む余地はほとんどありません。そうすることで、価値のないビジネスに無駄な時間を費やすことがなくなります。リソースと時間を節約して、最も効果的な活動を行うことができます。

3. まずはここから始めよう!!オーガニック投稿のソーシャルメディア分析

ソーシャルメディアマーケティングをする上で最も大切な、目標と目的からKPIを設定します。

では、オーガニック投稿のソーシャルメディア分析について説明します。絶対数と関連率の両方を見ることをお勧めします。

インプレッション / リーチ / オーガニックリーチ率 (ORR:Organic Reach Rate)

インプレッションとは、コンテンツの総閲覧回数のことです。非ユニークな閲覧回数とも呼ばれます。

😩ユニークとは、一回限りという意味合いがあります。つまりインプレッションは「一人のユーザーが何回も閲覧する」可能性の高い対象指標のため、非ユニークです。

一方、リーチはユニークな人を指します。つまり、1人の人が1つのコンテンツを3回閲覧した場合、インプレッションは3、リーチは1となります。これは、1つの投稿を扱う場合は簡単に理解できますが、複数の投稿を見る場合は複雑になります。

複数の投稿にかけるオーガニックリーチの導きかた

例えば、Facebookに5つの投稿をしたとします。それぞれのインプレッションが100、オーガニックリーチが50であった場合、これらの投稿の合計インプレッションは500(5×100)となります。しかし、オーガニックリーチの合計が250であるという保証はありませんし、むしろそれよりも少ないでしょう。5×50を単純に掛けることができない理由は、リーチは固有の数字であり、オーガニックでは複数の投稿を見る人がいる可能性が高いため、すべてのオーガニックリーチを合計すると二重にカウントすることになってしまうからです。このような理由から、複数の投稿の合計オーガニックリーチを分析レポートとして取得することはできません。さらに、Facebookやその他のソーシャルチャネルは、リーチ数をオンデマンドで提供していません。代わりに、投稿ごとの平均オーガニックリーチ、またはFacebookやInstagramの「28日間のオーガニックリーチ」指標をレポートの取得期間間隔を平均して使用することをお勧めします。

オーガニックリーチ率(ORR)とは、オーガニック投稿にリーチした人の割合です。一投稿レベルでは、オーガニックリーチをページへの「いいね!」数(またはフォロワー数)で割った値に100を掛けてパーセンテージを算出することでORRを出すことができます。ページやプロファイルレベルでは、ORRは、投稿のすべてのORRの平均値が該当します。

オーガニックリーチ率(ORR)を見るべき理由

有料広告(ペイドソーシャル)に投資すべきかどうかを判断する上で最も重要な指標の1つです。オーガニックで頑張ってもリーチが増えない、ORRが一桁(10%以下)であれば、コンテンツのリーチを増やすためにペイドソーシャルを試験的に使用するユースケースがあります。結局のところ、ごく一部のファンやフォロワーしかあなたのコンテンツを見ていないのであれば、コンテンツ作成に時間、エネルギー、リソースを投入していくのは難しい部分もあります。ORRが20%〜40%、あるいはそれ以上であれば、ソーシャルコンテンツをオーガニックリーチに頼るのは十分と言えます。まずはこのORRに着目してみてください。

インプレッション数、リーチ数、ORRは、ヒストリカルベンチマーク(Historical benchmarking)としてのみ利用でき、競合他社との比較はできません。

動画の視聴数 & 動画の視聴率(VVR)

FacebookとInstagram、そしてTwitter、LinkedInもPinterestも、動画視聴開始3秒後に「動画視聴」としてカウントされます。つまり、ユーザーがフィードをスクロールしているときに動画が自動的に表示された場合、少なくとも3秒間ユーザーの画面に表示されていればカウントされます。

しかし、YouTubeでの動画視聴は、視聴された秒数ほど単純ではないことをご存知でしたか?YouTubeはTwitterやInstagramと違ってより「動画に特化したストリームサービス」なので、動画の再生が行われたことを判断するための高度なシステムがあります。この仕様では、視聴された秒数、視聴者、視聴元デバイス、視聴履歴など、いくつかの要素が考慮されており、さらにいまだに開示されていない情報も多いのです。

動画へのリーチがあったユーザーのうち、視聴した人の割合を示すのがVVR(Video View Rate=視聴率)です。3秒間の動画再生数を投稿リーチで割って100を掛けてパーセンテージを算出します。ページやプロフィールレベルでは、VVRは動画投稿のすべてのVVRの平均値になります。

動画視聴数とVVRは、競争ベンチマークという概念を利用して分析することはできません。

エンゲージメント、インタラクション、エンゲージメント率

良質なインフルエンサーを見つけよう!Instagramの正しいエンゲージメント率の計算方法
どうしてインフルエンサーマーケティングにおいてInstagramのエンゲージメント率は重要なのか?また真のエンゲージメント率とは何か?について外資発InstagramマーケティングのパイオニアStatusbrewが説明します!
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エンゲージメントという言葉は、通常「インタラクション(Interaction)」と同じ意味で使われますが、この2つの指標は異なる意味を持っています。もちろん世界上うのソーシャルメディアマーケターの中で様々な論議がありますが、一般的には、エンゲージメントはユーザーがコンテンツ上で行うことのできるすべての行動(パブリックアクションとプライベートアクションの両方)を指し、インタラクションはパブリックアクションのみを指します。このため、エンゲージメントは競合ベンチマークと比べることはできません。それはリンククリックなどのユーザーごとのプライベートな行動があるためです。さらに複雑なことに、エンゲージメントはソーシャルメディアのチャネルごとに定義が異なります。例えば、Facebookのエンゲージメントは8つ以上の指標で構成されていますが、Instagramのエンゲージメントはその半分です。さらにTwitterも、エンゲージメントは画像のクリックやリプライのクリックなど非常に多くの要素があります。

リーチした人のうち、コンテンツにエンゲージした人の割合を示すのがエンゲージメント率です。投稿レベルでは、エンゲージメント数を投稿リーチ数で割って100を掛けたものをパーセンテージとします。ページやプロフィールレベルでは、投稿のすべてのエンゲージメント率の平均値を指します。

この計算方法は、あくまでヒストリカルベンチマーク(Historical benchmarking)にしかならず、競合ベンチマークは分析の際に利用することをお勧めしません。(プライベート指標が含まれているため)。しかし、エンゲージメントの代わりにインタラクションを使い、リーチの代わりにページへのいいね!、フォロワー、チャンネル登録者数を使うことで、競合分析に利用できます。Facebookを例にとると Facebook投稿エンゲージメント率=インタラクション数÷ページ「いいね!」数×100 となります。

さらに、ソーシャルメディアマーケティングツールによっては下記のようにエンゲージメント率を算出してレポート化することもできますが、Statusbrewでは「マーケターによってエンゲージメントの算出」は百通りのため、あえて機能として搭載していません。

ファンやフォロワーの純増減と成長率(Audience Growth)

ソーシャルメディアのマーケターの間では、成長は非常に偏った概念があるのが事実です。あるマーケターは、オーディエンスの成長(=Audience Growth)を気にせず、分析の指標としてもあまりトラッキングしません。一方で、グロースに関する厳しいKPIを持ち、特定のコミュニティの成長を追うマーケターもいます。何が正しいか、はマーケターの「アカウント運用の目的」により全くアングルが異なってくるため、ここでは言及は控えさせていただきます。コミュニティの成長の重要性はチャネルによって異なるため、様々な理由から、Facebookではページの「いいね!」の数があまり意味をなさなくなってきているように感じます。

  • ユーザーは、特定の質問(例:在庫の確認や営業時間)があったり、ページにメッセージを送りたいと思わない限り、Facebookページをわざわざ探して訪問しない傾向にあります。
  • ペイドリーチ(有料広告)に頼るマーケターが増えているため、ファンの数はそれほど重要ではなくなっています。ファンは、他のオーディエンス(特にカスタムオーディエンス)と比較して、リーチやエンゲージメントの費用対効果が低いこともあります。

しかし、Instagramのようなチャンネルでは、フォロワー数がより重要であると言ってもよいでしょう。なぜなフォロワー数は、プロフィールの上部に太字で表示され、視覚的に目立つようになっています。フォロワー数がブランド・アウェアネス(ブランド認知)と言えるからです。

インスタグラムでは、ユーザーがブランドのプロフィールにアクセスする可能性が高く、この行動はFacebookよりも一般的です。

Instagramは、「影響力」や「ソーシャル・エクイティ」といった概念で成り立っています。これらは一般ユーザーでけではなく企業/ブランドにも関連しています。つまり、あるブランドのフォロワー数が「少ない」場合、「そんなに人気の商品じゃないんだ」というロジックがInstagramでは通ってしまうのです。

この問題をどのように考えるかは、ブランド、業界によって異なりますが、分析をするという目的からすると、ファンやフォロワーの純増数と成長率を追跡することになるでしょう。純増減とは、1ヶ月などのある任意期間における新しいファンやフォロワーの数から、Unlike(低評価)やアンフォローの数を差し引いたものです。

オーディエンス成長率:通常、月単位で(月末のファン数-月初のファン数)÷(月初のファン数)に100を乗じてパーセンテージを算出します。

リンククリックとクリック率(CTR)

リンククリックとは、URLや「リンクカード」をクリックすることです。これは、ユーザーが時間をかけてニュースフィードを一時的に離れて、あなたのウェブサイト(商品やサービスページ)にアクセスしているということで、非常に重要なアクションです。

リンクが挿入された投稿にアクセスした人のうち、リンクをクリックした人の割合を示すのがクリック率(CTR)です。投稿レベルでは、CTRはリンクのクリック数を投稿到達度で割って100をかけてパーセンテージを算出します。ページやプロフィールのレベルでは、CTRは、リンクのある投稿のすべてのCTRの平均値を出します。

リンククリック数とCTRは、ヒストリカルベンチマーク(Historical benchmarking)としてのみ利用でき、リンククリック数は非公開の指標であるため、競合他社との比較はできません。

いかがでしたでしょうか?ソーシャルメディア分析をする際にどこまでどの指標を使って欲しいデータを取得するかを今一度考えてませんか?

Hisami Matsubara

北インド発のソーシャルメディアモデレーション&アナリティクスツールStatusbrewの日本支社代表です。日本市場立ち上げのため、2019年単身で渡印し、インド在住5年目です。 「日本語でありそうでない」マーケティング知見を執筆します。 91年生まれ岐阜県出身。少女漫画と文学作品、ワインとインドが好きです。

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