こんにちは、ソーシャルメディアマーケティングのエキスパートStatusbrewです。
日本を含め世界には、ありとあらゆる商品やサービスが次々と進出し存在する分、業界範囲もどんどん幅広くなってきています。Statusbrewも業界によって異なるマーケティングTipsなどをハイボリュームで日々執筆していますが、(例:ラーメン屋の店長のためのソーシャルメディアマーケティング)本日は趣向を変えてお届けします。
世界各国、人間の社会的な関係や感情的な結びつきとして「恋愛、または結婚」はほぼ共通の価値観とすれば、世界中でデートアプリが爆発的な人気を誇り、その市場の急速な成長は納得ができます。今回のタイトルにあるようにインドから日本まで、マッチングアプリの市場は国境を越え、消費者の心を引き寄せています。
本タイトルにもあるように本記事では「インドにおけるマッチングアプリから見る、価値観と文化すら変えるポジショニングをとったマーケティング」についてお話しします。
インドでの結婚といえば、最近Netflixでのドラマでも話題になった通り、「結婚は家と家の結びつき=伴侶は親が探してくる」ものという絶対的な価値観がある国。
そんなインドはマッチングアプリの市場になるのか?どこの企業がインドでの「デート」という価値観を取り込むために成功したのか?一般的にカルチャーを変えるってどういうこと?について解説します!
- 市場解説:お見合い結婚から恋愛結婚へ?インドにおける恋愛市場はマッチングアプリによって変わりつつある
- 国産?輸入?マッチングアプリのセグメントは大きく分けて2つ
- マッチングアプリの王者Tinderが行ったマーケティング
※英語圏ではマッチングアプリではなくdating appsという表記ですが、本ブログではマッチングアプリと表記させていただきます。
・市場解説:お見合い結婚から恋愛結婚へ?インドにおける恋愛市場はマッチングアプリによって変わりつつある
一般的にインドでは、恋愛結婚よりもお見合い結婚(Arranged Marriage)の方が主流であるという結婚文化ゆえに「カジュアルなデート」つまり結婚に繋がらない可能性の高い出会いはタブー視されてきた部分があります。
伝統的に親や親族によって結婚と結婚相手が取り決められ、今尚それが続いている国、インドでは比較的新しい現象です。しかしマッチングアプリの登場により、インドのお見合いは大幅に変化しました。若い世代は、もはや家族に頼らず、マッチングアプリアプリで相手を探します。
2020年の調査では、ミレニアル世代のインド人の62%がお見合い結婚よりも恋愛結婚を好み、その数はZ世代では69%にまで上昇していることがわかっています。
これは結婚や恋愛に関してはコンサバティブと評されてきたインド社会でも大きな変化と呼んで良いでしょう。
マーケティングの観点からいえば、新しいコンセプトを確立するにはコンセプト・セルが必要であり、説得力と関連性、全く正しいポジショニングが重要です。しかし、文化的慣習を導入する場合、その課題は単なるコンセプト・セルにとどまらず、文化の変革でもあったことでしょう。そして、コミュニケーション・キャンペーンは、単に特徴や利点を強調して消費者をあるブランドや商品から別のブランドや商品に切り替えさせるだけでなく、文化の変化を起こし、持続させるための手段になります。
市場には、Bharat MatrimonyやShaadi.comのような婚活アプリと、デート専門のアプリという2つの大きな商品セグメントがあります。インドのデートアプリ市場は、BumbleとTinderという2つのアプリが大きく占めています。どちらもアメリカから輸入したアプリですが、インドの文化の特異性を見極め、それをある程度流用することで、市場での存在を「インド化」=ローカライズしています。インドの現時点での結婚観や恋愛観を見捨てることなく、その結果生じる文化的・感情的なつながりを利用して、デートという概念についてあらゆるマーケティングコンテンツにおいてユーザーを教育することで、顧客ベースとの信頼関係を構築してきたことが調査の中で伺えます。
どのブランドも、デートが何を意味するのか、何を表現するのか、異なるコンセプトやアイデアを追求しています。 また、自分たちの視点を世間に伝えるためのアプローチも異なっています。本日は、市場に対する「異なる価値観という息を吹き込むこと」そのアプローチの例をいくつか紹介します。
・国産?海外からの輸入?インドでのマッチングアプリは2パターン
上記で既出していますが、世界その他の国と同じく、インドでもマッチングアプリのセグメントは目的別に分かれ、単刀直入にいうと
・カジュアルなデート、面白い出会いを求めるため
・真剣交際、結婚まで結びつける
2つに分かれます。後者はもちろんインドならではの婚活のファクターを理解する国産アプリが多いですが、前者となるとほぼアメリカ発のアプリが多いです。
インドで最もポピュラーなマッチングアプリ (引用: Times of India)
・Tinder
・Bumble
・Happn
・Aisle
・Hinge
・マッチングアプリの王者Tinderが行ったマーケティング
Tinderは言わずもがな世界最大規模のマッチングアプリです。2012年に登場したTinderは、5億3千万ダウンロードを突破し、世界190カ国、45以上の言語で提供されています。そして驚くことに全会員の半数以上が18~25歳です。
そのTinderは最初からうまくいったのでしょうか?
2013年にTinderがアメリカなどを席巻したのに対し、インドではTinderの成長はより緩やかでした。結論から言うと「目に見える成長」まで3-4年ほどかかっています。もちろん、Tinderのみならず「外資アプリ」は必ずローカルのマーケティングチームを立ち上げていますし、Tinder Indiaに限っては敏腕マーケターも取り揃えていました。
Tinderは2016年に1本のTVCMを打ち出しています。このTVCMは、ユーザーの認知と受容を生み出すことをターゲットにしたものでした。プロットは、26歳の女性とその母親が、今夜のTinder相手とのデートについて話すと言うものでした。
結果は最悪に終わっています。インドの保守的な文化を撃ち壊す「前代未聞で不適切」なものとしてソーシャルメディア上で多くの批判が寄せられます。Tinderがすでに持っていたまともな普及率にもかかわらず、Tinderの社会的イメージは最悪でした。
あくまでインドでは「結婚前の男女交際」は最大のタブーであり、Tinderがデートを推奨したからといって当たり前ですが「はいそうですか」と社会が変わるわけではありませんし、また既存の文化と価値観を否定されるべきでもありません。
1. 若い世代を味方につけたYouTubeマーケティングとメッセージング
Tinderはその失敗から学びました。人口が多く特にTinderのターゲット層である若い年代の多いインドには、このアプリを評価してくれる若者たちがたくさんいたのです。
TinderはYouTubeというソーシャルメディアプラットフォームを、まだアプリのことを知らない人たちに認知させ、その気になった人たちにアプリを使ってもらうという、情報発信の手段にしたのです。コンテンツにはTinderがスポンサーになっているものもあれば、新しいYoutubeチャンネルが最初のトラクションを得るために既存のブランドをコンテンツに使用しようとするため、オーガニックなものもあります。
特にこのYouTubeで打ち出されたYou Up?キャンペーンはバズを生み出し、今尚コメントが増えています。
Tinderは、人々の生活に自発性をもたらし、他者との可能性の全く新しい世界で開くことを目標に、アプリでの体験のなかの「瞬間」や経験の無限の可能性を祝福するブランドキャンペーン「You Up?」を発表しました。
若者たちは、文化的に「挑発的かつ暗示的」なデート行動と結びついた'You Up?'というアイデアを取り入れ、特に若いユーザー心理に必ずある「冒険心」を引き出すためのポジティブな行動喚起を定義したものでした。
Tinderが行ったのは、批判の後にここでメッセージを歪める必要はなく、ターゲットとなるユーザーを見つけたことで、本来のTinderが楽しくなったという事実が最も興味深いでしょう。
2. 会話型のソーシャルメディア(Twitter)マーケティング
会話型ソーシャルメディアマーケティングをご存知でしょうか?
ソーシャル上特にTwitterで異なるブランドやユーザーとの会話をオープン状態で生み出すことによりブランド認知を図るものです。
Tinderは、Twitterを通じたソーシャルメディア上の交流において、常にカジュアルでどちらかというとインフォーマル、かつ説得力のあるアプローチを維持しています。ミレニアル世代をメインターゲットとするTinderのTwitter戦略は、若干皮肉なトーンを保ちながら、Tinderのアカウントやツイートへのカムバックで高いエンゲージメントを目指しています。
他のブランドへの返信や日常の出来事へのツッコミなど、TinderのTwitter戦略は会話的であることに重点を置いています。Tinder IndiaとグローバルTinderのTwitterアカウントは、どちらも同じ文調(トーン)を維持し、市場を超えてフォロワーに一貫したブランドメッセージを伝えています。
コンドーム会社のDurex、動画ストリームのNetflix India、飲食デリバリーサービスZomatoなどのブランドは、ジョーク、ミーム、ダジャレを日常的に利用しています。
ウィットに富んだユーモアを交えながら、センシティブな言葉や要素には重々して気をつけなければいけない分、「Twitterの中の人」がよく起こしてしまう「炎上」には気をつけなければいけません。
・カルチャーを変える7つの要素
マーケティングは
- そもそも全く新しい商品やサービスを市場にローンチさせる
- 既存商品がある中でポジショニングをとる
パターンがありますが、前者特にインドの場合、本来「結婚前の恋愛だなんてありえない」という強い信念と浸潤した社会的な価値観を変えるには多くのファクターが必要です。
またこれは「国民全員の価値観を変えるまたは変える必要がある」というものではありません。
では一般にマーケティング要素を含む含まない関わらず、何が既存文化や風習を変えるのかも知っておきましょう。
(1)技術の革新
これはTinder Indiaのマーケターも話していることです。
テクノロジーの発展は消費者心理に大きく作用します。
Tinder Indiaが市場の成長を5年かけて行う安価で、消費者の行動には目に見える変化がありました。特にインドでは、テクノロジーやスマートフォンが当たり前になったことで、文化的な革命が起きています。若者や女性の意思決定の自律性が非常に高まっており、自分の人生の意思決定に対してより多くの選択肢とコントロールを持ちたいという欲求があります。
インターネット、スマートフォン、AIなどの進化は、私たちのコミュニケーション方法、作業方法、娯楽の享受方法を根底から変えてきました。
(2)経済的変動
経済状況が変わると、人々の生活、価値観、行動に影響を及ぼす可能性があります。例えば、経済危機は消費パターンを変え、新しい生活様式をもたらすことがあります。
インドでは都市部の若い世代の女性の社会進出がより進んだことにより、経済的な自立→例えば休日の過ごし方の自由な選択肢が広がったことも理由になるでしょう。
(3)社会政策と法律
政府の政策や法律もカルチャーに影響を及ぼします。これには、教育政策、移民政策、結婚や雇用に関する法律などが含まれます。
(4)環境変動
自然災害や気候変動などの環境的な要因も文化の変化を引き起こすことがあります。これらの問題は、人々の価値観や行動を変え、新しいカルチャーを生み出す可能性があります。
(5)教育
教育は個々の価値観と理解を形成し、これが集合的にカルチャーに影響を及ぼします。教育の変化はカルチャーの変化を引き起こすことがあります。
(6)移民とグローバリゼーション
異なる文化背景の人々が集まると、新しいアイデアや価値観が交換され、カルチャーが進化します。グローバリゼーションは、異なるカルチャー間の相互作用を促進し、カルチャーの変化を促進します。
(7)メディアとポップカルチャー:
映画、音楽、テレビ、ソーシャルメディアなどのメディアは、新しいトレンドを作り出し、カルチャーに大きな影響を与えます。
マーケティングが新しい文化の創造を生み出すための4つの方法
マーケティングは、消費者文化、デジタル文化、持続可能な文化など、新しい文化の創造と採用に重要な役割を果たすことは間違いありません。「社会的(つまりコントロール不可能な要素」ではなく、マーケティングがこのプロセスに貢献する方法を学びましょう。
1. 感じ方と態度への影響
マーケティングは、特定の製品、サービス、アイデア、または行動に対する人々の認識と態度を形成する力を持っています。マーケティングを通じて、企業は持続可能な生活を必要性だけでなく、望ましく、現代的なライフスタイルの選択として提示することができ、この文化の広範な受け入れと採用を奨励することができます。
2. ストーリーテリング(Storytelling)
効果的なマーケティングは、人々が自己の価値観、信念、志向と共鳴するような物語を伝えていなければなりません。ストーリーは、新しい概念と文化を、視聴者の自己認識に合致する形で提示することができます。新しい文化を、視聴者の自己認識に一致する物語の中で提示することで、マーケティングは人々がこの新しい文化を採用する価値を見出すのを助けることができます。
3. インフルエンサーの利用
社会メディアでの存在感が大きく、フォロワーに対する影響力が高いインフルエンサーは、新しい文化の促進において重要な役割を果たすことができます。インフルエンサーが新しい文化を推奨すると、それがよりアクセス可能で、望ましく、主流に見えるようにすることができ、これによりフォロワーがそれを採用することを奨励します。
4. 顧客エンゲージメント
コンテンツマーケティング、ソーシャルメディアマーケティング、体験型マーケティングなどのさまざまなマーケティング戦略を通じて、企業は顧客を新しい文化に触れる対話や体験に引き入れることができます。このような対話的な体験は、障壁を取り除きます。
本日は、インドという市場におけるマッチングアプリという一つのサービスから見るマーケティングについてお話ししました。
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