ソーシャルメディアを活用しきれていない理由とKPI設計方法

2023年11月27日 9 min read

こんにちは、ソーシャルメディアアナリティクスのエキスパートStatusbrewです。

ソーシャルメディアでマーケティングを行っているにもかかわらず、結果に繋がらないもしくは結果につながっているのかはわからないが、闇雲に取り組んでしまっていることはないでしょうか?

ソーシャルメディアのKPIを設計することが難しい→分析しても何を基準にデータを見れば良いのか、それを元に何を取捨選択すればいいのかわからない、のではないかを推測します。

ソーシャルメディアを活用しきれていない理由

ソーシャルメディアはいかんせん、人類の長い「マーケティングの歴史」規模で考えるとまだまだ新しいマーケティング手法です。

マーケティングの黄金時代の始まりは、とても大きく遡りますが1953年、大国アメリカの世帯の半分以上がテレビを家に置くようになってからです。マーケティング手法は主にテレビ広告でした。

下記は米国ビールメーカー「バドワイザー」の1960年代の広告です。予算の多くをブランドや製品の認知度を高めるために費やした優良製造業や消費財企業に支配されていた時代です。

引用:「家庭の主婦も手に取るアルコール飲料」を打ち出した。Beer and the Happy Homemaker

ところが現代どんな小さな商店ですらもソーシャルメディアをはじめとするマーケティング手法に気軽に手を出せることから、「手を出しやすいからこそ手を止めやすい」のもソーシャルメディアではないか、と私たちStatusbrewは考えます。

それはなぜか?なぜデータをとことん見るまでのマーケティングに繋がらないのか?を考えました。現代、商品やサービスをあなたの顧客が手に取るまでの方法はごまんとあります。それゆえ、

・購入までのプロセスが複数あるから想像しにくい→必ずしもソーシャルだけであなたの商品が認知されていたわけじゃないし、どの時点で購買意欲に貢献したのか、その人を逐一ストーキングしてるわけじゃないから断定できない。

・アトリビューション(Attiribution=集客)の判定の難しさ→どのマーケティング活動が、最終的に顧客の購買に寄与したのかを正確に特定するためには、アトリビューションモデルを設定する必要があ理、それが難しいから。

・ソーシャルのインタラクションの測定や、クリック数の測定の難しさ→どのインタラクションが何に結びつくのかブランドごとに設定している企業が少ない。

本日は、このテーマを解決するために、下記の通り進めます。

・そもそもなぜソーシャルメディアでマーケティングを行うのか?
・ソーシャルメディア(SNS )のインタラクションと購買の関係の測定の難しさ
・購入までのプロセスのモデルULSSAS
・SNSマーケティングへの分析指標の落とし込み方

にわけて解説します。

そもそもなぜソーシャルメディアでマーケティングを行うのか?

あなたの商品やサービスを世に出しているのは、決してボランティアではないはずです。最終的に商品を一人でも多くの人に手に取ってほしい、のだと思いますが、その中でなぜその商品を売るためにソーシャルメディアを使うのか?という理由にまず戻らなくてはなりません。

・認知度/知名度向上(利用者/利用者の割合が多い/高い)
・売上向上
・コミュニケーションを取る(双方向のコミュニケーションを取れるツール)
・ロイヤリティの向上
・情報獲得

が主な理由なのではないでしょうか。これさえまずわかっていることでどれをKGIとでKPIも変わる、こともまずわかるようになります。

その次に、ターゲット、使用人数から媒体を決め、内容などをKGI/KPIに沿って決めます。

①目標のKGIを達成するために影響がある要素を因数分解する
②要素の達成の進捗を数字で評価するための値を設定(=これがKPIになる)

式にすると

目的(KGI?)決定→媒体決定→KPI決定→実施→分析→最初に戻る がベストと言えます。

SNSのインタラクションと購買の関係の測定の難しさ

実際の購買までの動線はソーシャルメディア以外にもあるため、非常に関係性の測定が難しいことは周知かと思います。

例えばここに、ブルーミーというお花のサブスクリプションEコマースがあります。

引用:bloomee公式ウェブサイト

当然のことながら、最終的な目標は「有料課金ユーザーを増やす」「有料課金ユーザーを持続させる」「お花は街の花屋だけではなく、Eコマースで購入できることを知ってもらうこと」に近いのではないでしょうか。

では最終的な「購買行動」をソーシャルメディアに落とし込むことは難しいとされています。

その最もたる理由は、以下ではないでしょうか。

インタラクションの測定が難しい

→インサイトから得られる情報には限りがある

・SNS経由の購買数/総クリック数のような安直な式を立てることが困難

→SNS経由の購入との判断ができない

関連ツイート数はTwitter(x)では検索できるがインスタではハッシュタグしか検索できない

→詳細検索ができないから、本当に関連しているか、ポジティブな内容かネガティブな内容かがわからない

・競合との差がインタラクションだけではわからない

・インタラクションコスト:使用者が目的を達成するために必要な精神的・肉体的な負荷の総量→減らす必要

顧客データの限界

属性データ:年齢、性別、居住地、家族構成、職業、収入

行動データ:web閲覧履歴、ソーシャルメディア上の行動、購買履歴、GPSなど

→しかし意思決定のタイミングなどはこれらからはわからない。

ただ、ソーシャルメディアマーケティングにおいては「用途」の目的がほとんどの場合一定であります。それが「知名度」でしょう。つまり言い返せば、考えられる施策は認知度をとりあえず向上することです。

→購買率が一定であると仮定すると、単純な認知度の向上が売上の向上につながる(まだ認知度が低い場合はこちらの方がいいが、購買率そのものは低化すると考えられる)

アトリビューションモデルの存在を知ろう

アトリビューションとは日本語でそのまま「集客」です。直接成果につながった接点だけを評価するのではなく、コンバージョンに至るまでに影響を与えた流入チャネルの貢献度合いも正しく評価するという考え方、つまり成功の要因をたどる考えです。

顧客行動の多様化から、一様の理由/接点で購入するわけではなくなってきていますが、正しく接点を評価することが重要です、もっというと直前の接点が必ずしも最重要ではない、という考え方を知るべきでしょう。

さらにデータドリブンという考えがあります、これは過去の結果から貢献度を割り振るもので、まさにStatusbrewが推奨しているのが、このデータドリブンによるソーシャルメディア分析です。

ではここで、一般的なアトリビューションモデルを紹介します。

①終点アトリビューションモデル

>成果に結びついた最後の接点に貢献度を100%割り振るもの。

②最後の間接クリックアトリビューションモデル

>直接アクセス(ノーリファラー)を無視した上で、顧客がコンバージョンに至る前に最後にクリックしたチャネル販売に関する貢献度が100%割り振られるもの。

③起点アトリビューションモデル

>成果に結びついたユーザーが最初に接点を持ったチャネルへ貢献度が100%振り分けられるもの。

④線形アトリビューションモデル

>コンバーション経路の各接点に販売に関する貢献度が均等に割り振られる

⑤減衰アトリビューションモデル

>販売やコンバージョンに時間的に最も近い接点に最大の貢献度が割り振られる

⑥接点ベースアトリビューションモデル

起点と終点それぞれに40%の貢献度が割り振られ残りの20%は中間点に均等に割り振られる

成長戦略によって異なるアトリビューションモデルを選ぶ

初期特に積極的成長を図りたい場合→ファーストクリック、接点ベースなど初期段階の接点を評価するモデルを推奨します。

→検討の初期段階の顧客との接触機会を増やすことが可能になる

→費用対効果は低いが、売上規模の増加につながる可能性がある

慎重な成長を図りたい場合→ラストクリック、減衰のような購入直前の接点を評価するモデルは費用対効果が高いことで推奨されるものです。

ただしアトリビューションモデルはあくまで「モデル」であり、実際に近似している点はあっても実際との誤差や差は生じてしまうものではあります。

だからこそ実際のデータを入手し、それを検討して新しいモデルの選択をする必要があり、PD後のCAが重要となるのです。

ではそのアトリビューションの接点=実際のKPIを一例としてご紹介します。

アトリビューションモデルが評価する点

  • 接触点
  • マーケティング手法
  • コンバージョン

アトリビューションモデルを選択する際の判断材料

  • ビジネスの性質
  • 目的
  • マーケティングチャネルの特性

決定の根拠例

購買サイクルの長さで決める→ 長い購買サイクルを持つ事業者の場合、多くの接触点が存在するため、リニアアトリビューションや時間減衰アトリビューションなどが適している。

マーケ戦略で決める→例えば、強いCTA(Call to Action)を持つキャンペーンを行っている場合、最後の接触アトリビューションが適している。

認知を拡大したい→ファーストクリック、接点ベースなど初期段階の接点を評価するモデルを採用する。

慎重な成長を図りたい場合→ラストクリック、減衰のような購入直前の接点を評価するモデルを採用する。

購入までのプロセスとソーシャルメディアのタッチポイントを特定

購入までのプロセスのモデルULSSAS

UGC(ユーザー投稿コンテンツ)…消費者の投稿によって商品・サービスを知る

Like…SNSで気になる投稿に「いいね!」をする

Search 1(SNS検索)…SNSで商品・サービスを検索する

Search 2(Google/Yahoo!検索)…検索エンジンで商品・サービスを検索する

Action(行動)…商品やサービスを購入する

Spread(拡散)…商品やサービスを購入した結果についてSNSで拡散する

お花の定期便サービスを例に考えるKPIの設計方法〜因数分解〜

現状の分析→目標(KGI)の設定→目標の分割(KPIの設定)→分割した目標への施策決定→施策実行→分析(最初に戻る)

と決定したところで、花の定期便サブスクリプションEコマースをビジネスモデルに考えてみましょう。

お花の定期便をモデルに考える

フォロワー:12.4万

直近4投稿平均いいね数:327(557, 168, 274, 241)
直近4投稿コメント数:6.25(21, 0, 2, 2)
直近4リール再生回数:11,840(7361, 13000, 17000, 10000)

女性支持率、顧客満足度、口コミなどNo.1

ここから一定以上の既存顧客がいることが考えられ、さらに新規の顧客を開拓することの方が優先事項として高いのでは?と予測を立ててみました。

考えられる客層

20-50代女性が主要、一部20-50代男性

考えるべきこと

・購入率→定期購入の人の購入頻度

・購入単価→複数のプラント単価

・年齢層、性別、季節性→花の旬、花の必要な時期(夏の盆など?)

・教育系の情報提供時の新規フォロワー獲得率

・新規購入者増加率

・定期購入離脱率

購入ユーザーの取りうるアクション

花を定期配送してくれるサービスに課金したいと思っている人

花についての情報を調べるor花の購入先を調べる→サービスについて知る→他社/他サービスを検討する→自社製品を購入する(→情報の拡散/共有)

思っていない人、またはそのサービスや業界への認知がない人

投稿などで自社製品についての情報を見る→興味を持つ→さらなる情報を調べる→他社/他サービスを検討する→自社製品を購入する(→情報の拡散/共有)

新規開拓のためにソーシャルメディアを通してできること

・bloomeeの存在を知らない人に知ってもらう

・存在を知っているが必要性を感じていない人に必要性を感じてもらう

・異なる客層の人に購入してもらう

→SNS、特にインスタでは厳しいかも?

・海外進出

考えられる方法

・投稿数の増加

・投稿あたりのインプレッション、エンゲージメントの増加

・投稿の質を向上させる(顧客の求めているもの)

・他のSNSの使用(インスタは拡散には向いていないのではないか)(おそらくやっている)

・英語や他言語でのコンテンツの作成

KGI

・売上

・SNS経由のホームページ流入数←のちの検索は含めることができないか?

考えられる方法のKPI

・投稿数(日本語と英語コンテンツの割合を考える)

・インプレッション

・エンゲージメント

・クリック数とトラフィックの増加

・フォロワー数

KPIのための考えられる施策(一時的なものではなく継続的に向上できるもの)

・インプレッション/エンゲージメントの稼ぎやすい時間帯に投稿する

・投稿数を増やす

・実用的な内容の発信

購入ユーザーの取りうるアクション

花が欲しいと思っている人

花についての情報を調べるor花の購入先を調べる→サービスについて知る→他社/他サービスを検討する→自社製品を購入する(→情報の拡散/共有)

思っていない人

投稿などで自社製品についての情報を見る→興味を持つ→さらなる情報を調べる→他社/他サービスを検討する→自社製品を購入する(→情報の拡散/共有)

このようにユーザーの消費行動を踏まえた上で、ではInstagramなどの消費行動にも当てはめてみましょう。

Statusbrewの分析機能

Statusbrewは「どんなKPIにも対応する」238種類の分析指標を兼ね備えたソーシャルメディア分析ツールです。

消費行動をソーシャル上のKPIに置き換えたら、早速データ作成画面を開き、ピタりと当てはまる指標データを掘り出しましょう。

欲しいデータをさらにクレンジングするためのフィルター機能など業界最多に豊富です。

それではまた!

Hisami Matsubara

北インド発のソーシャルメディアモデレーション&アナリティクスツールStatusbrewの日本支社代表です。日本市場立ち上げのため、2019年単身で渡印し、インド在住5年目です。 「日本語でありそうでない」マーケティング知見を執筆します。 91年生まれ岐阜県出身。少女漫画と文学作品、ワインとインドが好きです。

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