ソーシャルメディアマーケティングに必要な「競合調査」のやり方・考え方

2023年7月5日 13 min read

目次

1.ソーシャルメディアとAIの影響力の高まり

2.まずはソーシャルメディアに関わらず自社の競合分析を!

3.自社ソーシャルメディアにおける競合とは

3-1 SNS分析による競合他社調査

3-2ソーシャルメディアマーケティングの競合分析

4.ソーシャルメディア分析ツールを活用しよう

こんにちは、ソーシャルメディアマーケティングのエキスパートStatusbrewです。

InstagramやFacebook、Twitterなどのソーシャルメディアを用いて自社プロダクトを発信されているまたはこれから発信したいと考えている企業さんが多いのではないでしょうか。

そして、ソーシャルメディアアカウントの投稿運用を行う際に、必要となることの1つとして、競合ブランド・競合他社への理解が挙げられます。

これまで、Statusbrewのお客様も競合他社分析について何度かお問い合わせをいただきました。ソーシャルメディアにおいての競合分析について汲み取ることが難しいと感じられているということに気がつきました。

今回、ソーシャルメディアマーケティングに必要な競合調査のやり方及び考え方について記していき、ソーシャルメディアにおける競合理解をはじめ、マーケティングにおいて競合を知るために必要な調査など、あなたの競合について理解を深められる、それらを自動化するツールを知ることができる、そんな記事にしたいと思います。

この記事を通して競合他社や競合ブランドへの理解を深め、その後のソーシャルメディアマーケティングに活用していただければ幸いです。



1.ソーシャルメディアとAIの影響力の高まり

ICT総研が実施した「2022年度SNS利用動向に関する調査」によると、日本のSNS利用者は8,270万人を超えており、SNS普及率は82%にも及びます。微増ではありますが日本でも今なお利用者数、利用率共に高まっています。

出所:ICT総研「2022年度SNS利用動向に関する調査

YouTubeが開始されたのは2005年、Twitterは2006年、Instagramは2010年、LINEは2011年にAppStoreにリリースされました。

総務省情報通信政策研究所の調査によると、20代においては、LINEとYouTubeでは約98%の利用率、TwitterとInstagramでも双方8割近くもの割合利用されています。

YouTubeが開始された2005年、令和3年度に20代の方の当時の年齢は、4歳~14歳となっています。実に、幼少期、学生時代からソーシャルメディアが存在していた年代だということがわかります。数年後には、生まれた頃からソーシャルメディアと共に成長しているソーシャルネイティブの人々も、20代へとなっていきます。ますます、ソーシャルメディアの影響力が大きくなることが予測されます。

出典:総務省情報通信政策研究所「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」

文章生成AIであるChat GPTが2022年11月に無料公開され、わずか2ヶ月でユーザー数1億人を突破し、それ以降AIの実装化が急速に進んでいます。各国、各大学などはAIに対する決まりづくり、基準づくりを急ピッチで行なっています。個人情報漏洩リスクなどを踏まえ、欧州では禁止する国も出てきていますが、文章生成のみでなく、プレゼン生成、デザインアイデアをアイデアをAIで実装、吹き替え版などでAIを用いて口の動きを自在に変えると言ったようなサービスが現れています。


GAMMMA「プレゼン資料作成」

Figma「デザイン生成」

Flawless「 口の動きを自在に変えられるサービスTrueSync」

このようにソーシャルメディア、AIの影響力が高まっていくにつれ、ソーシャルメディア運用に対する障壁が低くなり、ますますソーシャルメディア上でのやり取りが活発化していくと予測されます。インターネットの発達ソーシャルメディアの普及により、物理的距離の障壁はここ数十年で格段に低くなっていましたが、それでもなお、1つの作成した動画をそのまま用い気軽に動画の言語を変えることなどは難しく言語面での壁や、Canvaなど、誰もがクリエイティブに簡単にデザインできるようになるソフトも開発されていますが、それでもなお投稿内容を考える時にデザインについても熟考する必要がありました。

これらのAIが発展することにより、より労力少なく、発信に力を入れられるようになります。また、今後さらにソーシャルメディア、AIが発展していくことにより、いずれはディスラプションが起こり、新たな概念が生まれるでしょう。

今一度、ソーシャルメディアを取り巻く環境について考えてみましょう。

2.まずはソーシャルメディアに関わらず自社の競合分析を!

ソーシャルメディアマーケティングに注力しようと先ほどの1.ソーシャルメディアとAIの影響力の高まりから、さらに考えられた方もいるかもしれません。

ソーシャルメディアマーケティングに注力する前に、今一度考え直してほしいことがあります。それは、’’多角的な視点で競合分析を行うこと’’です。もうすでに、競合についてはかなり理解していると思われる方がいるかと思いますが、再度競合分析から行いましょう。

以下に競合分析例を’’日本の伝統健康食材こんにゃく’’を用いて示します。

まずは、InstagramやYouTube、Pinterestといったソーシャルメディアを用いて、こんにゃくKonjac、Devils tongueというようにキーワードを検索し、どのオーディエンスがどのように認知しているか確認します。

こんにゃくと調べると、どのチャネルでも板こんにゃくやたまこんにゃくを用いた料理すなわち広く一般に家庭料理として認識されているのに対し、Konjacと検索すると、そのほとんどがこんにゃく麺を用いた料理かつ、Konjacと検索すると、どこの国の人が活用しているというよりは、健康を意識した各国の料理インフルエンサーが用いている程度の認識だということがわかりました。このようなソーシャルメディア上でのリサーチは、実際にどのくらい認知度、浸透率があるか確かめるのに非常に有効です。

すでにその市場にその商品が広がっている場合は、潜在的な直接の競合他社(同様の製品を同様の顧客に販売している企業)と間接的な競合他社(異なる製品を同様の顧客に販売している企業)を特定します。

その市場に広がっていない場合、競合他社となりうる企業、似た商品を別のターゲット顧客に販売している企業、間接的な競合他社を調べる必要があります。

また、その商品の競合について考える際、その商品が顧客のどの問題を解決するか、その役割について考える必要があります。そうでなければ、顧客価値WTPを高めることはできません。

例えば、通常のボールペンの競合と言えば、何色もついているペン・消えるペンなど思い浮かべられるかと思われますが、その機能について着目すると、「記録」が挙げられると思います。PCやIpadも記録の役割を担っていると思います。大きな概念で捉えるとボールペンの競合は、PCやIpadだと述べることができます。このように、その製品・サービスが果たす役割、機能について多角的に考えることが非常に重要になります。

競合他社となりうる企業:こんにゃくゼリーの競合他社となりうる企業を確かめた結果、アジア輸入店を営んでおり、こんにゃく麺の輸入を開始しているムンバイにあるUrban Platterをはじめ、日本、その他の国でこんにゃく生産を行なっており海外輸出に力を入れ始めている企業群が挙げられます。

(Statusbrew作成資料)

似た商品を別のターゲット顧客に販売している企業:インドにもゼリーは存在し、ゼラチンを使用したゼリー、カルギーナンを使用したベジタリアンゼリーが確認されます。

ゼラチンは動物性食品であるため、ベジタリアンの方は食べられません。、カルギーナンに関しては動物実験の段階で発がん性の可能性が指摘されており、ゼリー自体インドでは不健康な食品として認知されています。

また、直接的な聞き取り調査を行った結果、ゼリー=子どもが食べるスイーツという認識がインドではあることがわかりました。

これらの結果より、似た商品を販売していますが、こんにゃくゼリーのターゲットである健康や環境を意識する都市部に住む流行に敏感な資金力のある20代には当てはまりません。

間接的な競合他社:こんにゃくの役割について考えると健康効果が挙げられます。その点で、サプリや栄養ドリンク、機能性表示食品がを生産する企業及び、より広く捉えるとジムやリラクゼーション施設も競合と捉えられ、さらにはヘルスカンパニー全体が競合他社になります。

このように、今一度、競合について考えましょう。競合分析の際に広い視点で競合を捉えられること、その考え方がその後の.自社ソーシャルメディアにおける競合とはについて考える際に、役立ちます。

最低限上記のことを行ってください。十分競合について理解されたという方は、3.自社ソーシャルメディアにおける競合とはへ進んでください。3.自社ソーシャルメディアにおける競合とはでは、以下の(4)~(8)を掘り下げたものになります。もう少し、競合分析を進められる方は、以下の(1)〜(4)(ソーシャルメディア調査は除く)を行なってください。

ここでは、もう少し掘り下げて競合分析を行います。その手順は以下の通りです。

(1).分析すべき競合他社を特定する (先ほど特定できた企業書き出してみましょう。)

(2).競合の概要を一覧にする

(3).競合の商品・サービスを徹底的に調べる

(4).競合のプロダクト以外の要素(売り場、オンラインサイト、ソーシャルメディアを詳しく調べる)

(5).必要に応じて市場調査を実施する

(4)のソーシャルメディア

(6).自社と競合をマッピングして位置づけを把握する

(7).これまでの情報をベースに自社の強み・弱みを分析する

(8).分析結果を元に、自社のソーシャルメディア戦略を検討する

<(1)~(4)ポイント>

(1).分析すべき競合他社を特定する (先ほど特定できた企業書き出してみましょう。)

・市場に流通しているプロダクトの場合:

・潜在的な直接の競合他社(同様の製品を同様の顧客に販売している企業)

・間接的な競合他社(異なる製品を同様の顧客に販売している企業)

その市場に広がっていない場合:

・競合他社となりうる企業

・似た商品を別のターゲット顧客に販売している企業

・間接的な競合他社

これらを書き出しますが、ポイントは、市場に流通していているプロダクトである場合、市場に広がっていないケースでも競合他者について書き出してみましょう。そうすることで、より自身のプロダクトの市場環境を見られるようになります。

(2).競合の概要を一覧にする

企業概要(設立・従業員数・所在地)など基本情報を可視化

どのターゲットにプロダクトを提供しているか記す。

この際、具体的に顧客をイメージできるよう、想定されるペルソナをできるだけ詳しく書き込みましょう。

その企業の財務情報、メディア出演などの詳細データを記録し、可視化しましょう。

(3).競合の商品・サービスを徹底的に調べる

以下の4Pのポイントを意識しながら、競合の商品・サービスについて深掘りしましょう。

  • Product(自社の製品・サービス):どのような価値が市場に提供されているのか
  • Price(価格):いくらで提供されているのか
  • Place(販売場所・提供方法):どのような形で提供されているのか
  • Promotion(販促活動):どのような販促が行われているのか


(4).競合のプロダクト以外の要素(売り場、オンラインサイト、ソーシャルメディアを詳しく調べる)

特に売り場などは、可能であれば現地に足を運び競合他社を実際に訪れてみましょう。販売方法、従業員など複雑な要素が絡まり合って良い憧れられる店舗になっている場合も多くあります。その際、自分ならどうするかという視点を持ちながら、調査しましょう。

3.自社ソーシャルメディアにおける競合とは

自社ソーシャルメディアにおける競合を調べる際は、上記手順の(4)から行います。

(4).競合のプロダクト以外の要素ソーシャルメディアを詳しく調べる

3-1 SNS分析による競合他社調査

以下、実際にこんにゃくに関連したソーシャルメディアにおける競合について調べてみます。

(1)まず、直接的にこんにゃく製品を販売していたり、製造している企業が挙げられます。



(2)次に、ジムやサプリなど、肉じゃがやおでんなどの具材としての認識以外で

現時点でこんにゃくという製品がターゲットとする、’’健康’’というイメージに沿った同じターゲット層を共有するアカウントを調べます。(今回、ジムやサプリなど)


(3)こんにゃくを用いた料理屋情報を発信している料理アカウントやダイエットアカウント


そして、それらのアカウントがどのような投稿を行なっているか、

・投稿内容

・投稿形式

・投稿頻度

・フォロワー傾向

・タグづけされた投稿

これら、そのアカウントに関する情報を書き出しましょう。

上記に加え、同等もしくはそれ以上ソーシャルメディアの競合調査を行う上で考えていただきたいことが以下の2つになります。

(1)本当に競合アカウントであるか?

3-1SNS分析による競合他社調査で競合アカウントだと考えられたアカウントは本当に競合アカウントなのでしょうか。

ソーシャルメディアでは、コラボやハッシュタグが存在し、例えば、こんにゃくについての投稿がなされればなされるほどそのワードに対する注目度は高まり、検索エンジンはその言葉を上位にあげやすくなります。また、すでにいくつものフォロワーを有しているアカウントがある場合、そのアカウントに発信またはコラボしてもらうことにより、一気に発信することができます。このように競合と思われるアカウントが実は最大のビジネスパートナーとなりうる可能性があります。

(2)企業アカウントと個人アカウント

企業のプロダクトをソーシャルメディアマーケティングすると考えた際、企業ブランドまたはプロダクトブランドにてアカウントを作成し発信する例が多く見受けられます。

本当にそれが最適なのでしょうか。個人ネームのアカウントからそのプロダクトを紹介、または普段の関連する様子を発信することでよりそのブランドに対し、親しみを感じやすくなり、付加価値や信頼を増すことができると言われています。

以下に、例を挙げます。

海藻加工技術に強みを持つフードテックカンパニーであり、アメリカで大人気の和菓子琥珀糖の海藻和菓子を手掛けるMISAKY.TOKYOをご存じでしょうか。起業家三木アリッサさんが立ち上げられたブランドです。

三木さんは、個人アカウントでも自身のプロダクトをシェアしたり、取材情報を発信されたりしています。また、日々の生活も発信されています。その三木さんの生き様がかっこよく、よりブランド、会社に魅力を感じられます。


ブランド名や企業名に加え、1つの個人ネームアカウントからの発信についても検討しましょう。ソーシャルメディアの視聴者の多くは、個人ネームアカウントです。

(5).必要に応じて市場調査を実施する

(4)ソーシャルメディアにて詳しく競合について調べた際、新たに関連する用語や市場を見つけると、次はその用語、市場について徹底的に市場調査を実施しましょう。

(6).自社と競合をマッピングして位置づけを把握する

以下のようなプロダクトブランドごとによって異なるという特徴を2軸にするよう、異なる特徴をアカウントごとに持つと考えられる項目を2つ設け、それに関しマッピングして各アカウントごとの違いの位置づけを把握しましょう。


その次に、共通項について考えましょう。

今回のこんにゃくに関するソーシャルメディアのケースではアカウント傾向を見ていると、

・すでにできたこんにゃくゼリーなどのプロダクトを紹介するもの

・こんにゃくを用いた料理(レシピ)を紹介するもの

この2つがほとんどでした。

こんにゃくを活用したレシピの中ではこんにゃく自体には何の違いも設けられず投稿されているのがほとんどでした。

これらから、

・こんにゃくの出来方など、こんにゃくそのものへの理解を深める学び方投稿の欠如

・こんにゃくに個性の欠如 (こだわり特徴が適切に消費者に伝わっていない)

と言ったことが明らかになります。

(7).これまでの情報をベースに自社の強み・弱みを分析する
Strength(強み
Strengthは、内部環境を構成するプラス要素で、「自社の強み」を指します。ユーザーが製品やサービスを選んでくれる理由、セールスポイントなどがStrengthにあたります。

Weakness(弱み)
内部環境を構成するマイナス要素がWeaknessで、「自社の弱み」を意味します。競合にあって自社にないもの、目的達成に必要なのに今はないものなどが、Weaknessとして考えられます。

強みや弱みをあげやすくするため、以下のような内部環境分析に役立つフレームワークを活用しましょう。

3C分析: Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)のそれぞれをリサーチすることで、市場の関係性を理解するために用いられるフレームワーク

4P分析:Product(製品)、Price(価格)、Place(場所)、Promotion(販促)の4つの観点から、自社の製品やサービスを分析するフレームワーク

(8).分析結果を元に、自社のソーシャルメディア戦略を検討する

分析結果をもとに、自社は、どのような形式でソーシャルメディアを運用するのか、どのようなアカウント形式にするのか、コンテンツ内容はどう工夫するか、どのような人をターゲットにするのか、投稿頻度・時間などについて検討・決定しましょう。

それでも決めきれない場合は、外部要因も調査するなどを行ったり、それまでの情報をもとに組み合わしせSWOT分析を行いましょう。そして、より良い業績を伸ばす戦略立案を立てましょう。

3-2ソーシャルメディアマーケティングの競合分析

3.自社ソーシャルメディアにおける競合とはについて考えた際に本当の意味で競合アカウントと認識したアカウントに関しては投稿ごとのエンゲージ数や種類別の投稿数などさらなる分析を行いましょう。

4.ソーシャルメディア分析ツールを活用しよう

Statusbrewは190種類以上の分析指標を持つソーシャルメディア専用の分析ツールです。

その中の機能の1つに競合分析機能があります。

競合分析とは、Statusbrewに接続している自社のSNSアカウント(もしくはクライアントのアカウント)と、あなたのブランドの競合他社の持つSNSアカウントのパフォーマンスを横ざしで比較するものです。

様々な指標を横挿しでデータ取得ができます。

Statusbrewは上記のダッシュボードにカスタムで作成したデータ・ウィジェットを埋めていくイメージで完成します。

例えば同じソーシャルチャネル(この場合はInstagram)で複数の分析指標を表示してアカウントごと、日付ごとでデータ化したり、比較対象を自分で選ぶことができます。

この、比較対象を自分で選択することができるというのが、企業内の複数プロダクト、他社プロダクトの分析でも扱いやすくなっています。

下記のように視覚的に競合に関して捉えられるようになります。

詳しくは、こちらをご覧ください。

また、競合分析が終わり、本格的にアカウント運用を始動させる際、予約投稿や複数アカウント同時投稿、そのソーシャルメディア運用状況について分析・さらにレポートまで自動化することができます。

適切に市場、ソーシャルメディア、自社プロダクト、競合について捉え、より良いソーシャルメディアマーケティングを目指しましょう。

ソーシャルメディアマーケティングに関してお気軽にお尋ねください。

Manaka Irie

インド発のソーシャルメディア管理ツールStatusbrewのコンテンツマーケターです。 世界中のソーシャルメディアマーケターの知見と最新情報をもとに、企業様/代理店様向けの記事を執筆しています。 大阪生まれ神戸在住。2023年中にインドへ渡印!好きな動物は牛🐮好物はお寿司と刺身。パニールキーサブジーも好き。趣味はジョギング。現在38カ国に友人がいます。目指せ、全世界。 よろしくお願い致します。

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