企業アカウント向け:ソーシャルメディアカスタマサポートにおけるSLA解説

2023年7月12日 7 min read

こんにちは、Statusbrewです。

こちらの記事をお読みいただいているということは、あなたは

・ソーシャルメディアをクライアントのために運用する代理店

・ソーシャルメディアでカスタマーサポートを行っている企業ブランド

では無いでしょうか?

今回は、ソーシャルメディア上でカスタマーサポートを行う企業様に向けて、その基準を定めるSLAの内容例についてご紹介したいと思います。

SLAは下記に詳しく説明しますが、お客様に向けて「これだけのクオリティを約束しますよ」という契約です。これがどこに使われるのか?はさまざまな業界に多岐に渡りますが、最近ではソーシャルメディアでカスタマーサポートや交流を支援する代理店がSLAをしっかりクライアントと結びます。


目次

  1. SLAとは
  2. メリット
  3. 注意点
  4. ソーシャルメディアカスタマサポートにおけるSLA

4-1. 設定されうる項目

4-2. KPI

4-3. 違反してしまったときは

4-4. レポート

4-5. 更新するタイミング

  1. サポート水準を上げるために
  2. まとめ

1.SLAとは

SLA (Service Level Agreement)とは、サービスを提供する際の品質をどの程度のものにするかを定めた契約のことです。SLO (Service Level Objective)という、サービスレベル目標で示した数値を達成することを約束し、できなかった場合は利用料の半額を返金する、などのペナルティも併せて提示します。


出典:https://www.boxis.net/fr/basedeconnaissances/article/21/service-level-agreement--sla-/

※SLAの代表的なフォーマットの一例。BASIC, BRONZE, SILVER, GOLD, PLATINUMのプランと、サポート項目ごとに表にして、保証する時間などを数値でわかりやすく示している。

2.メリット

SLAの一番のメリットは、責任範囲を明確にできることです。提供するサービス内容と責任範囲をはっきりさせておくことで、顧客にサービス品質を保証し、信頼関係を築くことが出来ます。

これが明確にされていないと、顧客の思い込みや、過度な期待により、トラブルを招きかねません。

また、想定外の事態が起きた際の対応や保証範囲も明記しておくことで、トラブルを回避することが出来ます。

さらに、SLAを作成することで競合他社と差別化することが出来ます。サービス基準を明示することで、自社の優れている点を他社と比較してもらいやすくなります。

3.注意点

SLAを作るにあたっての注意点には、以下のようなものがあります。


・設定項目は数値化できるものに

SLAの設定項目は、数字で客観的に判断がつくものにしましょう。

数値化できない項目の場合、達成できたか否かの基準が曖昧になってしまい、顧客とのトラブルの種となりかねません。

また、サポートチーム内での目標数値ではなく、安定的に実現できる適正数値を記載するようにしましょう。基準を一度でも満たすことが出来なかった場合、顧客の信頼を失うことになる危険性があります。

・例外シチュエーションも考慮

災害時などのシチュエーションを考慮することも忘れないようにしましょう。

顧客との間で、このような場合は契約が守れなくてもペナルティーが課されないという合意を結んでおくと安心です。

4.ソーシャルメディアカスタマサポートにおけるSLA

それでは、本題のソーシャルメディアカスタマサポートにおけるSLAを見ていきましょう。

典型的な例としては、企業のSNS運営を代行するエージェントとそのクライアントの間に結ばれる契約があります。

4-1. 設定されうる項目

・初回応答時間

これは、顧客に対し問い合わせを受け取ったという事への確認でもあるため、迅速にすることが重要です。例えば、DM等で受け取った問い合わせを12時間以内に返信する、などです。顧客は、自分の問題に対応し始めてくれた人がいる、とわかるだけで安心することが出来ます。

・対処時間

問題が解決してチケットがクローズするまでにかかる時間を、この規定以内にすることを保証します。

これは、単にチケットが開かれてから~時間以内、という基準でなく、営業時間を考慮して考えます。しかし、エージェントの都合であまりにも長く顧客を待たせてしまうと、顧客満足度に悪影響が出るため、問い合わせが多い時間には対応者を増やす、などの工夫も大切です。


※初回回答時間(左)と対処時間(右)のレポート例。

・解決率

いくら迅速に対応したとしても、問題が解決しなければ意味がありません。解決率を高めることは、会社の信頼を獲得することにも繋がります。

以上の項目は、シンプルに1パターンで統一すれば良いわけではありません。

緊急性の高い問い合わせがある際の優先度の付け方や、VIP顧客への優遇対応などにも言及しましょう。

4-2. KPI

エージェントとクライアントが同じ目標に向かって進めるようにするために、クライアントのKPI (Key Performance Indicator)もSLAに含めると良いでしょう。

ソーシャルメディアにおける典型的なKPIは、生産性、パフォーマンス、クオリティの3つのカテゴリーに分けられます。それぞれの指標には、以下のようなものがあります。

生産性の基準

  1. 自動(AIなど)での解決率
  2. 時間ごとの顧客需要(どの時期、時間帯に問い合わせが多いか)
  3. タグの分析(よく聞かれるトピックがわかる)
  4. 新しいチケット、リピートチケット(新しいチケットが多ければサポートの需要が高まっていること、リピートチケットが多ければ顧客がサポートに満足していないことを示す)
  5. 一定の期間に解決されたチケット数

パフォーマンス基準

  1. 平均応答時間
  2. 平均初回応答時間
  3. 平均対処時間
  4. 解決済みチケットの数
  5. 未解決チケットの数 (SLAの時間を過ぎたものも)

クオリティー基準

  1. 顧客満足度
  2. 拡散率(顧客が他の人に勧めてくれたかどうか)

4-3. 違反してしまったときは

時間内の対応が出来なかった、など、万が一SLAの内容に違反してしまった際は、迅速にアクションをとることが重要です。エージェントは、フォローアップに加えて、原因を調査するため、自動的に問い合わせを責任者へ、それでも解決されない場合は経営層へとエスカレーションします。

こうすることで問題に確実に対処し、SLA違反を真摯に受け止めているという姿勢をクライアントに見せることが出来ます。

4-4. レポート

さらに、SNS運営を代行するエージェントは、求められている要件に沿って、どのようなカスタマサポートを行ったかを中心に、クライアントへ月に一回、または週に一回ほどのペースでレポートを提出することが望ましいです。


出典:https://docs.newrelic.com/jp/docs/apm/reports/apm-sla-reports/

※SLAレポートの例。契約で設けられた項目に合わせて、受けたリクエストの数、応答時間、満足度などの結果を、週ごとに表でまとめています。

4-5. 更新するタイミング

SLAの契約は必ずしも定期的に更新する必要はありませんが、次のような場合にはアップデートを検討しましょう。

・クライアントの需要が変わった時

クライアントの事情で、一部のサービスが必要なくなった際などは、エージェントはその分野への責任を負う必要がなくなるため、アップデートしましょう。

・使用ツールが変わった時

もしクライアントが使用しているプラットフォームが変わった場合、仕様が大きく変わることが多いため、アップデートするべきでしょう。

・KPIに変化があった時

長い間クライアントと仕事をしていると、目指す方向性が変わってくることもあります。このような際には、エージェント側がそれを敏感に察知し、アップデートを提案できるのが理想的です。

5. サポート水準を上げるために

ここでは、カスタマサポートの水準をあげるための方法についていくつか紹介します。

・ブランド監視戦略

サポート対応が的確に行われているかを分析するために、ブランド監視を導入しましょう。

Statusbrewでも、レポートツールを用いて毎日のオペレーションを客観視することが出来ます。

・チャネルをCRMと連携させる

ソーシャルメディアのチャネルをCRM (Customer Relationship Management)と連携させることで、チームのメンバー誰もが今までの顧客とのやりとりの情報にアクセスできるようになります。

Statusbrewでも、CRM機能によって全ての顧客情報をまとめて管理でき、これまでの顧客とのやりとりの文脈を簡単にたどることができるようになります。

・人材育成に力を入れる

どのような人材がカスタマーサポートに当たるかは、その品質に大きな影響を及ぼします。よって、専門性のある人を雇ったり、トレーニングプログラムを用意することなどが求められます。

・内部コミュニケーションツールを使う

内部コミュニケーションツールを的確に使用し、サポートチーム内での連携をとりましょう。また、明確なガイドラインを作成することで、主観的な対応をしてしまうのを防ぐことが出来ます。

StatusbrewではSlackというアプリケーションと連携しており、スムーズな内部コミュニケーションとワークフローの単純化を実現しています。

・情報リンクを共有する

カスタマサポートが必要なレベルでない問題を、顧客自身で解決してもらえるようにするため、よくある質問(FAQ)などの情報リンクを提供することが、効率の向上につながります。

・データを関連部署に共有する

KPIの達成状況を測定し、文書に記録して、営業やマーケティングなどの関連部署に共有しましょう。

そうすることで、チームメンバー全員が現状を把握し、改善のためのアイディアを提案することが出来ます。

・カスタマサポート専用のアカウントを作る

ソーシャルメディア上でカスタマサポート専用のアカウントを作ることにより、受け取るメッセージがサポートを求めたものだけとなり、効率的に対応することが可能になるため、近年作成する企業が増えてきています。


※Twitterの専用アカウントでカスタマーサポートを行っているHuluの例。ハッシュタグを指定してリクエストや意見を募集しているほか、現在発生している障害などについても一斉に情報発信している。

6. まとめ

ソーシャルメディアカスタマサポートにおけるSLAを締結することによって、安定したカスタマサポートが保証できるようになります。

Statusbrewには上記の他にも様々な機能があり、企業様のソーシャルメディアカスタマサポートのマネージメントも行っておりますので、興味のある方はお気軽にお声がけください。

Haruka Kyogoku

インド発のソーシャルメディア管理ツールStatusbrewのコンテンツマーケター。マーケティングを担当されている方々の参考になるような記事を書いていきたいです。北海道出身東京在住なので、寒さにも暑さにも強いです。インドカレーとナンが大好きで、ヒンディー語も勉強中。夢は世界中を飛び回って旅行すること。よろしくお願いいたします。

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