ブランドを「認知してもらう」ってどういうこと? | ソーシャルメディアマーケティング

2023年7月4日 8 min read

こんにちは、Statusbrewです。

「認知」という日本語はマーケティング用語でなくとも広まってきているのではないでしょうか。

好きな「推し」「アイドル」が自分自身のことを「認知された」と表現されるのは、数多くいるファンの中から一個人として認識されるのことを最近では指します。

引用: モデルプレス社「推しに認知される方法に回答」記事より
引用: モデルプレス社「推しに認知される方法に回答」記事より

マーケティングの世界では「認知」はさまざまな方面があります。

まずこの世にすでに存在していて市場で存在している商品やサービスの中でブランドとして競争しなければいけないもの、または市場に存在していない商品やサービスの存在を認知してもらうもの。

今回のブログは前者、あなたの新しいブランドは市場でどのように認知されるのでしょうか?またどのようにしたら新興ブランドは認知されるのか?を解説します。

ブランド認知度とは、消費者が特定の製品やサービスに対して持っている親しみやすさを指します。マーケターがブランド認知度について語る場合、通常はターゲット市場やターゲットオーディエンス内でのブランド認知度を指し、「ターゲット市場以外での認知度」はそもそも含まれないことが多いです。

ブランド認知度には、さまざまなレベルがあります:

・ブランド名の認知度
・製品提供の認知度
・ブランド属性(競合他社と差別化できる点)の認知度

ブランドの認知度を評価する場合、上記の3つの指標をすべて測定することが重要であり、多くの消費者がブランド名を聞いたことがあれば便利ですが、実際に何をしているのか、なぜそのブランドから購入する必要があるのかを知らなければ、ブランド認知度が必ずしも売上増につながるとは限りません。

例えば日本のビジネスホテルといえば、あくまで筆者は、ですが

・アパホテル
・東横イン
・リブマックス

引用:

を思い浮かべます。

これは同時に上記した

・ブランド名の認知度
・製品提供の認知度
・ブランド属性(競合他社と差別化できる点)の認知度

が筆者である私の中で「同等のレベルの認知度」であるからです。

いずれの3つのホテルもこれらのブランドを認知する上で、「価格帯が同じくらい」「部屋の居心地やシングル部屋の広さと仕様も同じくらい」「予約スタイルが同じ」としています。

一般消費者に「この3つは競合だよね」と認識されるまではブランドは「無名」に等しいと言っても過言ではありません。

ではこのように「この商品といえばこのブランドだよね」と思ってもらえるプロセスはどのような過程をたどるのでしょうか?

ブランド認知マーケティング

ブランド認知マーケティングは、それを達成するための方法です。消費者が本能的にブランドを選択するようになるための活動です。

その戦略は、「ブランド認知」と「ブランド想起」という2つの要素で成り立っています。

ブランド認知とは、ターゲットがあなたのブランドを見たときに、(たとえあなたのソリューションを使ったことがなくても)そのブランドを認識することです。このレベルの親しみやすさは、「無名」を克服することに成功したことを意味します。あなたのブランドは、いざというときに選ばれやすくなっているのです。


ブランド想起は、さらに一歩進んでいます。これは、顧客が、あなたが売っているものを思い出したとき(補助的想起)、または思い出さずに(非介入的想起)、あなたのブランドを名指しできるようになることです。
ブランド認知マーケティングの最も手ごわい敵は、ダイレクト・レスポンス・マーケティングです。ダイレクト・レスポンスは、顧客に何かをするよう求めることで、即座に行動を起こさせることを目的としています。ブランド認知マーケティングは、あなたのブランドを、人々が真っ先に思い浮かべ、他の何よりも信頼する名前にすることを目的としています

ブランド認知のためのプロセス

こちらのステージをご覧ください。

引用:FlogOnline

ブランド認知の5つの段階は以下のように構成されています。

・未認識
・問題意識
・解決策の認識
・製品認知
・最も認知されている
ゴールは、「未認識」と「問題意識」の段階にいる人々を、「最も意識的」な段階へと導くことですよね。

それでは、認知の5つの段階と、それぞれのオーディエンスタイプに最も効果的なソーシャルメディアマーケティング戦略を探ってみましょう。

このブランド認知に対しては、こちらのブログで詳しく紹介していますが、この世には

1. 問題をすでに認知しているし、解決法も知っている
2. 認知しているが、その解決法にたどり着いていない
3. 潜在的な問題に気づいていない

と3つのタイプのユーザーに分けられます。

今回は5つのブランド認知のプロセスに基づいてお話ししますが、

それぞれの段階について見ていくことにしましょう。

・自ステージにいる人たちの考え方と特徴
・どのように彼らのいる場所(オンライン?オフライン?)で彼らに会い、彼らと効果的にコミュニケーションをとるか
・ソーシャル含むデジタルマーケティング戦略の一環として利用できる可能性のあるチャネル
・測定するためのKPIの例

どのように5つのステージを経て顧客になるのか、シナリオの例も紹介します。

ステージ 1 & 2: 未認識 & 問題認識

最も初期の段階であるため、マーケティングの観点からは最も困難なオーディエンスです。

・そもそも問題に気づいていない

このオーディエンスに対して、最もできる近道は「教育」「インスピレーション」を与えることです。

この「教育」「インスピレーション」の段階では「自分を知ってほしい」に全面振り切らなくてもいいのです。自分のブランドのことを知ってほしい!という気持ちを抑えて、長期目線での囲い込みがこのフェーズです。

引用:reef

問題に対して未認識のオーディエンスは、ターゲットオーディエンスの条件を満たしているかもしれないが、もちろんあなたのブランドや売っている商品の存在を知りません。

では、気づいていない見込み客に対して、どのようにマーケティング的なアプローチコミュニケーションに取り組めばいいのでしょうか?

答えは、彼らが知りたくなるような、十分に関心を持っていると思われる問題を提示することです。つまり、教育&インスピレーションに該当するカテゴリーですね。

この段階でのあなたのメッセージングは、あなたのコンテンツや広告にエンゲージすることで、その問題に興味を持っている見込み客を発起させます。

重要:認知度が低いほど、また製品が複雑で高価であればあるほど、ダイレクトレスポンスのオファーに耳を傾けてもらう前に、より多くの情報を提供する必要があります。もしこのようなファネルごとのコンテンツをすでに生成している場合は、何よりもこの段階のコンテンツをどのブランドよりも多く発信続けたものが勝つのです。

・ターゲット市場を知る
・彼らが無自覚な状態から問題意識を持つに至ったきっかけを理解すること。
・彼らが直面している問題や、その問題に関連するさまざまな疑問についてよく理解すること。

例えば、メンタル面の健康については気づきにくいものです。

アメリカのBetterhelpという、電話、チャット、ビデオ通話を通じて専門的なオンライン・セラピーを提供し、会員それぞれのニーズや好みに応じてセラピストをマッチングするメンタルケアアプリがあります。

ただでさえ問題意識として受け入れにくい「ユーザーの課題」を主にInstagram上で、とても自然体にユーザーの「深層心理」を引き出す投稿をしています。

一見これだけでは、メンタルケアアプリだとわからないことでしょう。投稿の中に、「今どんな気分ですか?」という問いかけとともに、「悲しい」「のんびり」「怒り」「恐怖」「恥ずかしい」など誰もが「答えることのできる選択肢」を提供しています。

これはもちろん、最終的にセラピストがユーザーに質問する内容なのでしょうけれど、Instagramという身近なソーシャル上で問題を認知することで、このBetterhelpのフィードに行けば、自分が抱えている感情の行き着く先にある答えや持っている課題を引き出します。

そしてソーシャルメディアは当然と言えば当然ですが、コンテンツ主のアカウントに1タップで移動できるので、このブランドがどんなソリューションを提供しているのか?を知らせることは容易なのです。

まとめると、この「未認知」オーディエンスへは

・ソーシャルメディア
・ディスプレイ広告とプログラマティック広告
・動画とYouTube広告
・インフルエンサーとブランドのコラボレーション
・ネイティブ広告
・伝統的なオフラインチャネル

を利用し、最も力を入れるべきは

・キーワード調査とSEO最適化
・コンテンツマーケティング、ブログ、ゲスト投稿
・SEOに最適化されたInstagram投稿、Instagram動画とYouTube広告です。

ここに「未認知」状態のオーディエンス向けの広告例があります。

問題提起になるための長めの導入分、そして「疑問(〜したいですか?〜ではないですか?のような)」を必ず入れ込むことが問題提起へのリードポイントです。

引用:GrowthMarketer

ステージ3&4: 解決策の認識と製品の認知

ここまでくると、大抵は「最もメジャーな商品ブランドの名前」も同時に情報をキャッチしている段階にあります。

解決策を認識する段階にあるオーディエンスは、解決策に何を求めるか...という明確な、かつ理想的な最終結果を形成し始めており、それを実現できる可能性のある製品やサービスに対して比較的オープンです。

では、解決策に気づいている段階の人々に対して、マーケティングコミュニケーションはどのようにアプローチすべきでしょうか?

問題についての情報要件を満たした彼らは、解決策が存在することを知っており、その解決策についてもっと情報を得たいと考えています。また、問題を認知しているのでキーワードに対する感度も高いです。

そのオーディエンスが最も集まるコミュニティやプラットフォームにて、問題をより認識させます。そうすることで、彼らの注意を引き、解決策についてさらに彼らを教育し、信頼とロイヤリティを高めながら、あなたが彼らにとってNo1の選択肢であることを推し進めるのです。

彼らが最終的に顧客になる準備ができたときに、十分な情報を得た上で購入の意思決定をするのに十分な自信を感じてもらうためです。

彼らにソリューションについて説明するときは、ソリューションのメリットに焦点を当て、オファーを提示したときに彼らが行動を起こすように仕向けましょう。

ヒント:各ターゲットオーディエンスのペルソナが望む最終的な結果を把握し、コンテンツ、オファー、マーケティング・コミュニケーションでこのビジョンを語るようにしましょう。

最終結果への欲求を育むことで、感情的なつながりが深まり、彼らの行動意欲が向上します。

こちらの問題認知をしているユーザー向けの広告をご覧ください。

より問題に特化し、さらには「より良い解決方法」を導き出す文面を中央部分に持ってきています。

引用:reef

解決策を認識している段階のオーディエンスは、潜在的な解決策について知りたい質問はたくさん持っていますし、製品やサービスについて調べています。

検討段階では、あなたのウェブサイトを訪問したりソーシャルメディアでエンゲージしたことのある人と、初めてあなたのブランドとエンゲージする人が混在しているはずです。

解決策を認識する段階では、キーワードを見直しましょう。

・SEO最適化
・コンテンツマーケティング、ブログ、ゲスト投稿
・SEOに最適化された動画とYouTube広告
・ソーシャルメディアのInstagramやTwitterでの顧客エンゲージを見せる

コミュニティへの介入もこの辺りから進めるべきでしょう。

コミュニティへ行き、ソリューションを探しているオーディエンスに対してブランド名を掲げながらユーザーへのアプローチを試みるのです。

ステージ5: 意思決定

この段階ではすでに商品とサービス内容は明確になっていて、あとはどのブランドが最も顧客満足度を満たしてくれるか?より良いカスタマーエクスペリエンスがあるか?をユーザーは最も意識します。

その最もたる手法は、ユーザーとの直接のエンゲージです。

ユーザーがあなたのブランドを承認してくれるひと推しは、やはりブランドからの直接のエンゲージでしょう。

空気清浄機のAirdogはinstagramに寄せられる顧客からのコメントに全て返信をしていますね。

また、最終的には具体的なソリューション=ブランド名+機能を打ち出し、基本はその場では金額は公にしません。

引用:growthmarketer

あなたのブランドを認知してもらうまでの考え方として、ぜひお役立てください。この次のブログでは具体的な事例とともにご紹介します。

Hisami Matsubara

北インド発のソーシャルメディアモデレーション&アナリティクスツールStatusbrewの日本支社代表です。日本市場立ち上げのため、2019年単身で渡印し、インド在住5年目です。 「日本語でありそうでない」マーケティング知見を執筆します。 91年生まれ岐阜県出身。少女漫画と文学作品、ワインとインドが好きです。

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